異常気象はどうして起こるのか

 最近のニュースでは、「百年に一度の大雨」や「数十年に一度の暑さ」などの言葉を使って被害の大きい気象現象を報道しています。12月に入ってからも気温が20℃を越えたかと思うと日本海側では大雪となったりして、長い間隔で発生していた異常気象が短い周期で発生するので百年に一度とか数十年に一度と言う言葉は聞き飽きた感じがします。

 それでは、何故このような異常気象が起こっているのでしょうか。気候の研究者によると気候とは、大気の運動・気温・湿度・雲・降水や海洋の運動・水温・塩分・海氷分布などの多くの要素が複雑に絡み合う巨大な系であり,気候系の内部には常に「ゆらぎ」が存在することから、大気の状態は一定ではないということです。従って豪雨や猛暑など「極端な気象」が発生するのは十分あり得ることで異常な事態ではないとしています。ただし、数十年に一度とされてきた規模の極端な気象現象が毎年のように起こることは、地球温暖化の影響を否定できないとも言われています。つまり、地球温暖化は気候内部のゆらぎによって起こされた自然現象ではなく、産業革命以降急速に増えた温室効果ガスを中心とする長期的な気候変化であり、観測される気象現象はすべて気候変化と自然現象が合わさった結果であるそうです。ということは、温室効果ガスの発生を抑えることが、地球温暖化による気候の変化を減少させることに繋がると言えそうです。

 

 ここで、自然現象に影響する要素の一つ大気の運動のうち、時々耳にする「偏西風の蛇行」について調べてみました。

 偏西風は極を中心に西から東に吹く地球規模の気流をいい、年間を通して吹く西風のことです。北半球では海や陸地が複雑に入り組んでいるため大気の温度分布が複雑で、これが偏西風を蛇行させる原因の一つとなっています。さらに、偏西風には、北緯40度付近の寒帯偏西風と、北緯30度付近の亜熱帯偏西風の2種類があります。これらが温度差を減少させようと影響し合って蛇行するのだそうです。実は最近TVで偏西風の蛇行を可視化して見せる実験をやっていて、見事に寒帯偏西風が蛇行していました。この寒帯偏西風の蛇行が大きくなり下がってくると、ヨーロッパや中国で発生した大寒波となり大雪が降ります。右図は12月13日の偏西風蛇行(COKBEE HPより)を示すもので、北海道や日本海側に寒波が来ることを表しています。また、寒帯偏西風が緯度的に上がり、亜熱帯偏西風が上がってくると気温の上昇に寄与します。

 

 いずれにしても偏西風の蛇行は気候に影響を与えるだけではなく、農業などの食糧生産に甚大な影響をもたらすことになります。やはり、偏西風の蛇行を抑えるには、気候変化に影響のある温室効果ガスつまりCO2の削減が重要になるということですね。普段の生活の中でCO2を減らす工夫が必要です。皆さんのご協力をお願い致します